アトサヌプリは、北海道弟子屈町にある第四紀火山である。標高は512m。活火山に指定されている。硫黄山(いおうざん)とも呼ばれる。
アトサヌプリの名は、アイヌ語の「アトゥサatusa(裸である)」と「ヌプリnupuri(山)」に由来する。つまり、「裸の山」の意である。
地質は安山岩およびデイサイト、流紋岩。サワンチサッブ、マクワンチサップなどの溶岩ドーム群からなる。噴気活動は活発で大規模に噴出ガスを排出し、下の写真でも見えるように山体のあちこちから火山ガスが噴出している。数箇所の噴気孔では業者が卵を加熱しており、観光客に販売している。
火山から出る硫黄成分のため山麓周辺部の土壌は酸性化しており、一般に広く見られるエゾマツやトドマツ等が生育できない。荒地に適応したハイマツと、酸性土壌を好むイソツツジが優勢であり、7月初旬にはイソツツジ群落の一斉開花が見られる。一部にはコケモモやガンコウランなどの高山植物も見られ、日本でも最も標高の低い場所にある高山植物帯となっている。また、地熱が高い部分は冬でも雪が積もることがない。有名な川湯温泉の硫黄泉はアトサヌプリを起源としている。
北海道川上郡弟子屈町