ミーソン聖域(聖地美山)とは、ベトナム中部クアンナム省にある古代チャンパ王国の聖なる遺跡。1999年、ユネスコの世界遺産(世界文化遺産)に登録された。
ミーソン聖域はサンスクリットによる正式名称をシュリーシャーナバドレーシュヴァラといい、チャンパ王国の宗教(ヒンドゥー教シヴァ派)の聖域であり、聖山マハーパルヴァタを望むクアンナム省ズイスエン県ミーソン圏谷にある。ミーソンにはレンガ作りのチャンパ塔など7世紀から13世紀にかけての遺構が残っているが、ベトナム戦争当時の爆撃によってかなり破壊されている。遺跡の近くを大河トゥーボン川が流れており、川の女神を祀る秋盆夫人祠とサンスクリット碑文がある。トゥーボン川の中流には王都チャキエウ遺跡があり、河口には近世に日本人町が栄えた港町ホイアンがある。
ミーソン聖域は、20世紀初頭にフランス人によって発見されたが、フランス領インドシナ統治時代に盗掘を受け、美術品の多くが失われた。また、ベトナム戦争で南ベトナム解放民族戦線アジト掃討のため、アメリカ空軍・B-52の爆撃を受け、大半の遺跡が破壊された。ベトナム戦争後はポーランド文化財保護アトリエ (PKZ) のカジミエシュ・クヴィアトコフスキ、ベトナム文化情報省文化財修復公司のホアン・ダオ・キンらにより補強がなされ、石像の一部等がダナン市のチャム彫刻博物館に移送された。日本のトヨタ財団、アメリカのワールドモニュメントウォッチ財団による保護助成が行われ、現在はイタリア隊が調査を行っている。また、2005年3月には日本の国際協力機構の技術協力によりミーソン遺跡展示館が完成した。
ベトナムクアンナム省